そこまでしなくても戸籍も変更できるしリスクも大きいし障害が残る可能性もあるし…
応援したいけどちょっと理解しにくいから応援に消極的になってしまいます
実際に僕の周りでは陰茎形成までしている人は少ないですし
今回は僕の場合のお話をしましょう
2020年5月現在では諸条件ありますが子宮と卵巣を取る手術まですれば戸籍の変更ができるようになります
当事者にとって周りの煩わしさを減らした、いわゆる”フツー”の社会生活を送るのであれば陰茎形成までは必要ないかもしれません
手術や戸籍変更までしなくてもホルモン注射をすればパッと見で男で通じるようになりますし、カミングアウトしなければ割と穏やかに生活できます
陰茎形成手術がどれだけ割に合わないか、それでも受ける理由を通して性同一性障害の当事者の現状や考えをお伝えします(あくまでも僕の場合のお話です)
書いてる人の手術歴
- ホルモン注射歴15年
- 2008年に胸を取る手術
- 2015年に子宮・卵巣を取る性別適合手術
- 2017年に陰茎形成の手術&男性の戸籍をGET
タイがメジャーですが全て国内で受けてます
読者の方へのメッセージ
物事はいろんな角度から見ることができます
見る角度によって分かりやすさ、気付き、きっかけ等なにかしらの発見があるかもしれません
考え方は人それぞれですが僕の場合の角度で情報をお伝えします
もちろん興味本位で見ていただくのも大歓迎です
あくまでも僕の場合のお話ですが、それによって誰かの何かしらになれば良いなと思っています
陰茎形成手術がコスパ悪い理由5つ
陰茎形成の手術は体の負担も大きい大掛かりな手術の割に出来上がりはショボいです
「そこまでして受ける理由が分からない」とよく言われます
コスパとかの問題ではないかもしれませんが、今回は分かりやすくするためコスパの悪さとそれでも受ける理由をお伝えします
費用が高い
子宮卵巣取る際に尿道延長をしておく必要があるので国内だと合わせて300万円は余裕でかかります
これは単純に手術と入院だけの値段で、通院や検査、術後にトラブル等あればもっとかかります
とにかく費用が高いです
ちなみにタイだともっと費用を抑えることはできます
リスクが大きい
どんな手術も100%のものはないので、全身麻酔をする大掛かりな手術であれば下手すれば死ぬ可能性も0ではないです
神経を傷つけたら感覚も無くなってしまう可能性もあります
せっかく付けても壊死して台無しになってしまう可能性もあります
もちろんお医者さんはそのリスクを減らす努力はしてくれますが、100%はないです
時間がかなりとられる
手術前に陰茎予定の部分の永久脱毛や検査などで半年以上前から最低月1通院する必要があります
平日の担当医がいる日という病院の都合に合わせる必要があります
術後トラブルによっては毎日通うこともあります
職場によっては働きながらはキツいと思います
あと、半年くらいして尿道が狭くなっておしっこが出なくなり追加で2回手術しました
全然リアルじゃない
医療技術が上がったとはいえホンモノには程遠いです
海綿体という複雑な血管は作れないので形も変化しないし、僕の場合は脂肪の多い太ももから作ったのでホンモノとは程遠い太さと形です
感覚も僕はイった時の感覚は手術前の7割くらいに減りました
もちろん、イケるし日々感覚は変わっていますが術前よりは感覚は確実に低下します
ちなみに子供も作れません
手術しても治らない
陰茎形成をすれば一通りの治療を受けた事になるのですが、それでも治りません
“性同一性障害”というのは完全には治りません
どれだけ手術をしても所詮はニセモノです
手術をしたからといって悩みが無くなることはないです
もちろん悩みは減りますが無くなることはないです
注意!決してお医者さんを貶めるつもりはないこと
この記事では決して医者を貶めるわけではないです
コスパ悪いって言ったりしていますが、僕はお医者さんを尊敬しています
当事者でもないのに真剣に取り組んでくれて、国内で堂々と手術できるようにしてくれています
その恩恵にあずからせてもらっているので貶める気は全くないです
僕を手術してくださった方は皆高い技術を持ち、それぞれの考えの下で「負担が少なくなるように」「できるだけ要望に沿えるように」工夫を凝らしてくれています
すごく尽力してくれていて僕は満足していますし、手術したことを後悔したことは全くないです
なぜ手術を受けるのか
僕は手術をしない体で死にたくなかったからです
これから陰茎形成術を受ける予定の友人は「どうしてもHがしたいから」です
本当に人それぞれです
周囲に見せるものでもないので”陰茎形成までする”というのは結局自分との問題なんです
自分が耐えられないんです
僕はこの体で死ぬのが耐えられなかったです
トイレや着替え、お風呂…日常のふとした時に自分の体の現実に向き合わなければならないのです
その度にすごく落ち込んだりうんざりしたり…
それが毎日続く
死にたいと思ったことは数え切れません
でも、踏みとどまってたのは手術前の体で死にたくなかったからです
この体で死ぬのがどうしても耐えられない、怖かったんです
「100%の手術はない、ましてや神経をイジるのであればちょっと間違えば一生イけないかもしれない」
「手術前の体でいること」
この二つを天秤にかけてもやっぱりこの体で死ぬ事の方が耐えられませんでした
大前提として僕は快感を得ることに関しての欲望はあります
それでもイけなくなっても良いから手術したかったんです
ちなみに技術は日々進歩しているので少し待てばもっとリアルな、要望に近い手術ができるかもしれません
その可能性も考慮しましたが、人間いつ何があるか分からないのでどんな形であれ今手術を受けることを選びました
じゃあ手術した今どうなのかというと、死ぬ事は考えてません
トラブルはあったものの、今は立っておしっこするたびに幸せを感じています
幸せは目に見えないと言いますが、僕は確実に目に見えています
ホンモノとは程遠くてもそこにあるというだけで僕は今幸せです
やりたいことはまだまだ沢山ありますが、今死んでも結構納得できます
でも死にたいとは思いません
それは性同一性障害以外で人生が楽しいからです
性同一性障害というのは僕の中でとても大きい問題ですが、所詮は一部なんです
それ以上にやりたい事があったり、この人たちともっと一緒にいたいという気持が大きいので死ぬ気はないです
一部以上のものがあるのでそれを見ているだけで生きる活力はどんどん沸いてきます
この充実感を与えてくれる全てに感謝しています
以上が僕が手術をした理由です
繰り返しになりますが、あくまで僕の場合です
理由は人それぞれです
当事者の方に伝えたいこと
僕は「手術するな」とか「手術した方が良い」とか言う気はないです
本人が決めるものなので僕はノータッチです
ただ、「陰茎形成までするのがホンモノ」だとか「治療するのがホンモノ」だとか言う人がいるかもしれません
性同一性障害なら治療という流れが一部ではあるかもしれません
その声に悩む必要はありません
手術やホルモン注射は体には害しかないです。
本来の方向とは逆の事をするので体には大きな負担になります
しなくて済むならしない方が良いに決まってます
病気か病気じゃないかとかいう論争もありますが、仮に病気だとするなら軽いほうが良いに決まってます
何をしても治らないなら自分が少しでも楽に、納得して一部以上のものを見れるように生きれるのが一番です
治療に関して思い通りにならなかったり、苦しいことがあった時に後悔するととても絶望的だと思います
子宮卵巣を取ると更年期障害が出てきますが、僕はこれがとてもキツかったです
様々な症状が出ましたが僕はダルさがとてもひどかったです
寝たきり中の本人画像
陰茎形成の手術でも、移植した血管の血流を確保するための1週間の寝たきり生活は頭がおかしくなりそうでした
身体を起こしてはいけないので食事も寝ながらです
飲み物もストローで寝ながら飲みます
もう二度とやりたくないです
こういうしんどい時に後悔をすると本当に絶望的だと思います
もし、迷うことがあるなら慎重にいくことをお勧めします
もちろん決まっているなら突き進むのみです
もし今決めれないなら決めなくても良いんです
周りの声に悩むのはもったいないです
自分で納得して生きる方が楽しいです
あなたが選択した答えを僕は支持します
まとめ
大げさに言っているように聞こえるかもしれませんが、何があっても納得できる生き方の選択が陰茎形成の手術でした
もちろんあくまでも僕の場合のです
僕以外の人にはそれぞれの理由があります
“性同一性障害”って当事者以外には理解しにくい事が多くあると思います
理解というのも曖昧で、本当の気持ちは本人にしか分かりません
ただ、いろんな角度から見ることによって納得はできるかと思います
「理解して受け入れろ」とは思いません
理解自体に疑問もあるし、全ての人が同じ考えにするべきとかは怖いです
それぞれに思うことがあって良いんです
僕の経験があなたの何かしらになれば幸いです
実はYouTubeでも語ってます
どんな人間が語っているのか、ブログに書ききれない思いも載せているのでよろしければご覧ください